『東京八景』あとがき 太宰治 Guide 扉 本文 目 次 『東京八景』あとがき 所收──「東京八景」「HUMAN LOST」「きりぎりす」「短篇集─一燈・失敗園・リイズ」「盲人濁笑」「ロマネスク」「乞食學生」  作者が、作品に説明を附けると、讀者は、その説明文に頼り過ぎていけない。作品以外に説明文を熱心に讀む傾向があるから、いけない。いつの頃から、そんな傾向があらはれたものか、とにかく、惡い癖である。作者だつて、自作に就いて的確な説明は、容易に出來るものでない。  このたびは、主として昨年後半期の作品を集めた。HUMAN LOST と、ロマネスクは古い。前者は、昭和十一年。後者は、昭和九年に書いた。HUMAN LOST は、ひどく亂れてゐる。思ひちがひして書いてゐるところもある。けれども、それも捨てがたいので、そのままにして置いた。  他の作品に就いては、いま更めて言ふべき事も無い。 昭和十六年三月。 底本:「太宰治全集11」筑摩書房    1999(平成11)年3月25日初版第1刷発行 初出:「東京八景」実業之日本社    1941(昭和16)年5月3日発行 入力:小林繁雄 校正:阿部哲也 2012年1月7日作成 青空文庫作成ファイル: このファイルは、インターネットの図書館、青空文庫(http://www.aozora.gr.jp/)で作られました。入力、校正、制作にあたったのは、ボランティアの皆さんです。