参政取のけは当然 宮本百合子 Guide 扉 本文 目 次 参政取のけは当然  法制会が、婦人参政権の問題を否決したのは、さまで意外なことではありません。何にしろ日本は、やっと普通選挙が実現されるかされないかと云う、社会進化の途上にあります。  英国でさえ、殆ど百年に近い時日を費したこの問題が、そう一朝一夕に片づこうとは思いません。実際運動に携わっている婦人達も、これで失望したり、騒ぎ立てたりするよりは、もう少し根気よく、実力を蓄えつつ賢い忍耐で、人生の大局を見まもる訓練を得ていますでしょう。  私一箇人としては、今迄の通り同性のそう云う運動に、好意と感謝を含めた沈黙の視線を向けながら、自分の選んだ道に専念しつづけるばかりです。 〔一九二三年十一月〕 底本:「宮本百合子全集 第十四巻」新日本出版社    1979(昭和54)年7月20日初版発行    1986(昭和61)年3月20日第5刷発行 初出:「読売新聞」    1923(大正12)年11月6日号 入力:柴田卓治 校正:米田進 2003年5月26日作成 青空文庫作成ファイル: このファイルは、インターネットの図書館、青空文庫(http://www.aozora.gr.jp/)で作られました。入力、校正、制作にあたったのは、ボランティアの皆さんです。