旅人
三好達治
|
雪どけの峽の小徑を 行く行く照らしいだす わが手の燈火
黄色なる火影のうちを 疲れて歩む あはれ わが脚の影
重い靴 濡れた帽子 冷めたい耳 空腹 ──旅人と
身をなして 思ふことさへ うつつない ああ このひととき
底本:「三好達治全集第一卷」筑摩書房
1964(昭和39)年10月15日発行
入力:kompass
校正:大久保 知美
2017年12月26日作成
青空文庫作成ファイル:
このファイルは、インターネットの図書館、青空文庫(http://www.aozora.gr.jp/)で作られました。入力、校正、制作にあたったのは、ボランティアの皆さんです。