雪夜 一
三好達治


雪はふる 雪はふる 聲もなくふる雪は 私の窗の半ばを埋める

私の胸を波だてた それらの希望はどこへ行つたか ──また今宵

それらの思出もとび去りゆく 夜空のかぎり 雪はふる 雪はふる

雪は思出のやうにふる 雪は思出のやうにふる また忘却のやうにもふる

底本:「三好達治全集第一卷」筑摩書房

   1964(昭和39)年1015日発行

入力:kompass

校正:大久保 知美

2018年225日作成

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