黄昏
三好達治



どこかで鳥の聲がする 雪の山の黄昏時

私は一つの尾根に彳つ 谿間の宿のランプの

私の部屋の小さな窗 窗に映つた帽子の影

あはれあはれ それは思出のやうに見える 微かな谿の水の聲

底本:「三好達治全集第一卷」筑摩書房

   1964(昭和39)年1015日発行

底本の親本:「定本三好達治全詩集」筑摩書房

   1962(昭和37)年330

初出:「四季 第十六號」

   1936(昭和11)年3

入力:kompass

校正:大久保 知美

2018年828日作成

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