(概念が明白となれば)
中原中也



概念が明白となれば

それの所産は観念でした


観念の恋愛とは

焼砂ですか

紙で包んで

棄てませう


馬鹿な美人

人間に倦きがなかつたら

彼岸の見えない川があつたら


反省は咏嘆を生むばかりです

自分と過去とを忘れて

他人と描ける自分との

恋をみつめて進むんだ


上手者なのに

何故結果が下手者になるのでせう

女よそれを追求して呉れ

底本:「新編中原中也全集 第二巻 詩」角川書店

   2001(平成13)年430日初版発行

※底本のテキストは、著者自筆稿によります。

※()付きの表題は、作品の冒頭をとって、底本編集時に与えられたものです。

※()内の編者によるルビは省略しました。

入力:村松洋一

校正:鳩

2017年620日作成

2018年425日修正

青空文庫作成ファイル:

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