書信
中原中也



 依田氏の「春愁」は好きです。槙氏の「道」は関西に住む人の幸福がよく感じられます。「春愁」は傑作でさへあります。しかし「偶然うまく行つた」といふ感じがするのです。謂はば詩格がないとでもいふのでせうか。余剰価値に乏しいとでもいふのでせうか。

(新生三月号をよみて)

底本:「新編中原中也全集 第四巻 評論・小説」角川書店

   2003(平成15)年1125日初版発行

初出:「新生」

   1937(昭和12)年4月号

※底本のテキストは、筆写稿によります。

入力:村松洋一

校正:noriko saito

2015年220日作成

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