和讚類纂
萩原朔太郎
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ゆきはふる
まなつまひるのやまみちに
光るこなゆき
さんらんたりや
わが道心のたなごころ
うすら侘しきたなごころ
ひじりのみあし
つめたきみあし
おんかたへやるせなく
かけまつるさうぞくの
しののめのこゆむらさき
いろのあさがほ
なみぢのうへを
とほくよりあゆませたまふ
わが主いえすよ
ふなべりになみだをながし
いちねん祈願したてまつる
ひとの子のわれの身のうへ
おぼるるものはぺてろなり
はなをつむ
はなをつむこころはへ
しろがねづくりの靴をはき
みなつきはじめ
くさばなのたねをつむ
たねをつむこころはへ
すずめ
すずめ
金のこなふる奧山に
しんじついとしいべにすずめ
すずめ
すずめ
み山の奧のべに雀
底本:「萩原朔太郎全集 第三卷」筑摩書房
1977(昭和52)年5月30日初版第1刷発行
1986(昭和62)年12月10日補訂版第1刷発行
入力:kompass
校正:小林繁雄
2011年6月25日作成
青空文庫作成ファイル:
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