雨の降る日
(兄のうたへる)
萩原朔太郎
|
雨の降る日の縁端に
わが弟はめんこ打つ
めんこの繪具うす青く
いつもにじめる指のさき
兄も哀しくなりにけり
雨の降る日のつれづれに
客間の隅でひそひそと
わが妹のひとり言
なにが悲しく羽根ぶとん
力いつぱい抱きしめる
兄も泣きたくなりにけり
底本:「萩原朔太郎全集 第三卷」筑摩書房
1977(昭和52)年5月30日初版第1刷発行
1986(昭和62)年12月10日補訂版第1刷発行
入力:kompass
校正:小林繁雄
2011年6月25日作成
青空文庫作成ファイル:
このファイルは、インターネットの図書館、青空文庫(http://www.aozora.gr.jp/)で作られました。入力、校正、制作にあたったのは、ボランティアの皆さんです。