〔なべてはしけく よそほひて〕
宮沢賢治


なべてはしけく  よそほひて

暁惑ふ      改札を

ならび出づると  ふりかへる

人なきホーム   陸の橋


歳に一夜の    旅了へし

をとめうなゐの  ひとむれに

黒きけむりを   そら高く

職場は待てり   春の雨

底本:「新修宮沢賢治全集 第六巻」筑摩書房

   1980(昭和55)年215日初版第1刷発行

※〔〕付きの表題は、底本編集時におぎなわれたものです。

※底本は、「作者専用の詩稿用紙に書かれた詩篇を収録し」、多くの詩篇で、詩稿の形式に合わせて上下に二句を配置し、字間スペースなどを調整して下の句の頭が横にそろうように組んである。この形を取っているこの詩篇では、句間を最低全角2字空けとし、下の句の頭を横にそろえた。

入力:junk

校正:土屋隆

2011年514日作成

青空文庫作成ファイル:

このファイルは、インターネットの図書館、青空文庫(http://www.aozora.gr.jp/)で作られました。入力、校正、制作にあたったのは、ボランティアの皆さんです。