今年の文壇を回顧する
牧野信一



一、昭和八年度文壇は貴下に如何なる感想を与へましたか 二、本年中で発表された作品で最も印象に残つたものは何ですか


二、あらためて振り返つて見ると、小生は今年あちこちと、さ迷ひ回つてゐたゝめに殆ど何も読まなかつたらしいのです。多少は読んだのだつたかも知れませんが、何も彼も濛つとしてゐてとりとめがありません、斯んな近事を誌すこと誠に汗顔の至りでありますが、何卒悪からず御諒察の程願ひます。

底本:「牧野信一全集第五巻」筑摩書房

   2002(平成14)年720日初版第1

底本の親本:「文藝首都 第一巻第十二号(十二月号)」文學クオタリイ社

   1933(昭和8)年121日発行

初出:「文藝首都 第一巻第十二号(十二月号)」文學クオタリイ社

   1933(昭和8)年121日発行

※底本編集時に付されたと思われる、表題冒頭の「●」は省きました。

※「今年の文壇を回顧する」と題したアンケートへの、回答です。

入力:宮元淳一

校正:門田裕志

2011年815日作成

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