昭和四年に発表せる創作・評論に就て
「山彦の街」に就いて
牧野信一


「山彦の街」を、前編だけで、完了し忘れたのを遺憾に思つてゐます。あれは僕の脳裡を不断に去来してゐる共和国の一片です。某君が、何に材料を得たか? と問うたが、材料は空想です。空想ではありますが、日常の見聞が幾分姿を変へてゐる部分もあります。あれには主に酒場の場面ばかりを、書きましたが、夫々独立したものとして(何うでも関はないが)次の機会には「競技場」「図書館」「議場」そして「浴場」などの光景を書きたく思つてゐます。

底本:「牧野信一全集第三巻」筑摩書房

   2002(平成14)年520日初版第1

底本の親本:「新潮 第二十六巻第十二号(十二月号)」新潮社

   1929(昭和4)年121日発行

初出:「新潮 第二十六巻第十二号(十二月号)」新潮社

   1929(昭和4)年121日発行

※底本編集時に付されたと思われる、表題冒頭の「●」は省きました。

※「昭和四年に発表せる創作・評論に就て」と題したアンケートへの、「「山彦の街」に就いて」との回答です。

入力:宮元淳一

校正:門田裕志

2011年81日作成

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