文壇落書帳
六月二十八日
牧野信一


 ゆうべ三四人の若い友達連と酔つ払つて踊つたり、早稲田の歌をうたつたりして、ブツ倒れたのは何でも三時頃だつたさうだが、そして七時頃起きてしまつたのだが、メマヒもしなければ頭も痛くない。いつも夏になると健康なのだが、この頃は余程体の調子が好いやうだ。四五日前体量をはかつたら十二貫二百半あつた。これは新レコードだ。十二貫を越えた験しはないのだ。夏の陽のギラギラしてゐるのは僕は嫌ひではない。──これから何処へ行つて見ようかしらと思つてゐる。

底本:「牧野信一全集第三巻」筑摩書房

   2002(平成14)年520日初版第1

底本の親本:「文學時代 第一巻第四号(八月号)」新潮社

   1929(昭和4)年81日発行

初出:「文學時代 第一巻第四号(八月号)」新潮社

   1929(昭和4)年81日発行

※底本編集時に付されたと思われる、表題冒頭の「●」は省きました。

※「文壇落書帳」と題した雑誌のコーナーへの、「六月二十八日」との原稿です。

入力:宮元淳一

校正:門田裕志

2011年81日作成

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