大正十五年の文壇及び劇団に就て語る
牧野信一


「唖者にも妻がある、彼自身に許されたる夢がある。」

 私は、いつか「環魚洞風景」といふ私小説の中で、唖子ノ一夢ヲ得ルガ如ク云々の諺を、そんな風に曲げて異人娘に答へた事がある。これが吾家の抱負では情けない、が質問に接した時それを思ひ出したので、答へとしては厭味で且つ見当はづれらしいが、誌して見た。

底本:「牧野信一全集第二巻」筑摩書房

   2002(平成14)年324日初版第1

底本の親本:「新潮 第二十三巻第一号(新年特大号)」新潮社

   1926(大正15)年1

初出:「新潮 第二十三巻第一号(新年特大号)」新潮社

   1926(大正15)年1

※底本編集時に付されたと思われる、表題冒頭の「●」は省きました。

※「大正十五年の文壇及び劇団に就て語る」と題したアンケートへの、回答です。

入力:宮元淳一

校正:門田裕志

2011年526日作成

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