赤い鳥
小川未明
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鳥屋の前に立ったらば
赤い鳥がないていた。
私は姉さんを思い出す。
電車や汽車の通ってる
町に住んでる姉さんが
ほんとに恋しい、なつかしい。
もう夕方か、日がかげる。
村の方からガタ馬車が
らっぱを吹いて駆けてくる。
鳥屋の前に立ったらば
赤い鳥がないていた。
都の方をながめると、
黒い煙が上がってる。
底本:「定本小川未明童話全集 3」講談社
1977(昭和52)年1月10日第1刷
1981(昭和56)年1月6日第7刷
初出:「赤い鳥 特別号」
1919(大正8)年2月
※表題は底本では、「赤い鳥」となっています。
入力:ぷろぼの青空工作員チーム入力班
校正:本読み小僧
2012年8月21日作成
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