管笛
小川未明
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お母火を燃すけえ。
そねえに燃さなくても温けえないか。
だって今日は寒いもの。
寒いか、そんだらくべろえ。
明日、また出て薪取ってくるわの
そう心配さっしゃんな。
* * * * * *
お母、燃えたぜ当たらっしゃい。
汝、やかましいそげなもの吹くなよ。
ごじゅうからがたくさんきていたぜの、
あっちの神社の森にきていたぜの、
ほら鳴いているだろの、
俺のこの笛聞いて鳴いているだろの?
ふいふいふい
悲しく鳴る管笛。
底本:「定本小川未明童話全集 3」講談社
1977(昭和52)年1月10日第1刷
1981(昭和56)年1月6日第7刷
初出:「新声」
1909(明治42)年1月
※表題は底本では、「管笛」となっています。
入力:ぷろぼの青空工作員チーム入力班
校正:江村秀之
2013年11月23日作成
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