昔の大名の心意気
三遊亭円朝



 十五の事で御座ございます、殿「近侍きんじのもの。侍「ハアー。殿「今宵こよひは十五るの。侍「御意ぎよい御座ござります。殿「お月さまはモウ出たか。侍「おそれながら御前ごぜんさまはお大名だいみやう御身おみりながら、お月さまとおほせられましては、小児せうに童子わらべことにて、歌俳諧うたはいかいにでも月は月で事はますやうぞんじます。殿「アヽ左様さやうか、もそツとぞんざいにつてもよろしいとまうすのか。侍「いえ、ぞんざいとまうわけりませんが……。殿「うぢや月は〳〵。侍「えわたりまして御座ござります。殿「シテ星奴等ほしめらも出たか。

底本:「明治の文学 第3巻 三遊亭円朝」筑摩書房

   2001(平成13)年825日初版第1刷発行

底本の親本:「定本 円朝全集 巻の13」世界文庫

   1964(昭和39)年6月発行

入力:門田裕志

校正:noriko saito

2009年619日作成

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