随筆評論集「書かれざる作品」後記
豊島与志雄


 本書に収められてる文章は、大正十四年から昭和八年までの間に、折にふれて書かれたものである。そして、昨年とか今月とかいうような言葉が散見されるし、時日が事柄と重要な関係を持つものもあるし、殊に感想の類は、当時の文芸的社会的情勢によって立論されたものが多いけれど、只今、その執筆年月を詳かにすることは難儀である。のみならず、如上の綜合的日付だけをしておいて、時事的関心以上のもので凡てを読んで頂きたいというのが、著者の希望でもある。

底本:「豊島与志雄著作集 第六巻(随筆・評論・他)」未来社

   1967(昭和42)年1110日第1刷発行

初出:「書かれざる作品」白水社

   1933(昭和8)年9

入力:門田裕志

校正:Juki

2013年511日作成

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