仔牛
新美南吉



仔牛は日向に

たつてゐた


細い四足すつきり伸びて

さいひづめは繁縷はこべらふんで。


日永、半日

たつてゐた


青いお目々は牡丹をみつめ

黝いお鼻は匂ひにぬれて。


すると日暮にお角が生えた。

空に小さく三日月でゝた。

底本:「日本児童文学大系 第二八巻」ほるぷ出版

   1978(昭和53)年1130日初刷発行

底本の親本:「チチノキ」

   1935(昭和10)年2

初出:「チチノキ」

   1935(昭和10)年2

入力:菅野朋子

校正:noriko saito

2011年14日作成

青空文庫作成ファイル:

このファイルは、インターネットの図書館、青空文庫(http://www.aozora.gr.jp/)で作られました。入力、校正、制作にあたったのは、ボランティアの皆さんです。