苔人形
新美南吉
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苔人形は
つくられた、
木の実や苔や
白樺で。
ランプのかげに
つくられた、
シベリア樅の
森のかげ。
いろんな顔に
ゑがかれた、
ほだの消えてく
寒い夜に。
こつこつこつと
けづられた、
木こりや娘や
妻たちに。
赤いシヤツポも
つけられた、
春に売られて
行くやうに。
コペイカ銅貨に
なるように。
そして貧しい
森かげの
きこりが暮して
行くように。
苔人形は
つくられた、
吹雪の音を
ききながら。
底本:「日本児童文学大系 第二八巻」ほるぷ出版
1978(昭和53)年11月30日初刷発行
底本の親本:「チチノキ」
1932(昭和7)年8月
初出:「チチノキ」
1932(昭和7)年8月
入力:菅野朋子
校正:noriko saito
2010年12月9日作成
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