「花問答」後記
岸田國士



 この一巻には、今までのどの作品集にもいれることのできなかつた、私としてはやゝ例外的な形式の短篇のみをあつめてみることにした。

 従つて何れも試みの域に止まるものが多く、これを再び世に公けにすることは今では躊躇されるのであるが、春陽堂新支配人磯部節治君の強硬な勧誘をしりぞけることができず、その取捨を一任する約束で、同氏の好意にむくいるほかはなかつたのである。

 たゞ、由来短篇小説といふものを書かなかつた私が、気まぐれにコント風のものを二つ三つ書いた、それがことごとくこゝに収められたことが、おそらく、この一巻の存在理由となるであらう。

著者

底本:「岸田國士全集28」岩波書店

   1992(平成4)年617日発行

底本の親本:「花問答」春陽堂書店

   1939(昭和14)年210日発行

初出:「花問答」春陽堂書店

   1939(昭和14)年210日発行

入力:門田裕志

校正:Juki

2011年827日作成

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