編輯後記(昭和二年一月號)
『青空』記事
梶井基次郎


 例月に比して小量のものしか載せ得なかつたことは、青空の經濟策に變動があつたことにもよるが、編輯の任にあたつた私が病態思ふやうに働らけなかつたためである。その點パートナーの三好を多々煩はしたことを感謝しなければならない。

 青空も滿二年を經た。絶えざる成長が行はれたことは讀者も感じられることゝ思ふ。内部にはそれと共に新らしい進展のための用意が出來てゐる。それが今年度になつてどんな成果を持つて來るか私には大きな樂しみである。生活の上にも同人の中の數人には卒業にともなふ變化がこの三月には約束されてゐるのだ。

 今月號に於て同人淺沼の評論、金斗熔氏から頂いた原稿が載せられなかつたことを遺憾に思ふ。同人阿部は卒業論文作成のため何も書かなかつた。來月には必ず何か書くことゝ思ふ。

 寄贈された雜誌に厚く御禮申します。

底本:「梶井基次郎全集 第一卷」筑摩書房

   1999(平成11)年1110日初版第1刷発行

初出:「青空」

   1927(昭和2)年1月号

入力:土屋隆

校正:高柳典子

2005年55日作成

青空文庫作成ファイル:

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