無題(八)
宮本百合子


 松林、鎧戸を閉したヴィラの間を通って Hotel Hajek の庭 日覆の下の卓で昼餐。地酒の冷した白葡萄酒、鮎に似た魚、野鴨の雛、美味いライス、プディングをたべた。

 小さい門、リラの茂、薄黄色模様の絹の布団、ジャケツ、黄色のクッションにもたれて欧州婦人のジェスチュアをする五十五歳の光子クーデンホフ夫人。(青山という江戸商人の娘)

底本:「宮本百合子全集 第十八巻」新日本出版社

   1981(昭和56)年530日初版発行

   1986(昭和61)年320日第2版第1刷発行

初出:同上

入力:柴田卓治

校正:磐余彦

2004年215日作成

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