今年改良したき事
宮本百合子



 日常生活の形式等は、出来る丈単純にしているので、今私の心に在るものは、改良したいというより、寧ろ進展したい心持でございます。けれども故石川啄木の歌に

ひと晩に咲かせてみむと梅の鉢を

  火に焙りしが咲かざりしかな

とある心持を深く、切実に感ぜられます。

〔一九二一年一月〕

底本:「宮本百合子全集 第十七巻」新日本出版社

   1981(昭和56)年320日初版発行

   1986(昭和61)年320日第4刷発行

初出:「婦人倶楽部」

   1921(大正10)年1月号

※底本の「解題」(大森寿恵子)は、この作品名を「仮題」としています。

入力:柴田卓治

校正:磐余彦

2003年915日作成

青空文庫作成ファイル:

このファイルは、インターネットの図書館、青空文庫(http://www.aozora.gr.jp/)で作られました。入力、校正、制作にあたったのは、ボランティアの皆さんです。