「道標」創作メモ
宮本百合子



     再びパリへ


 九月十八日  午后六年パリ


 十月二十四日 パリを親たち去る



 〔欄外に〕青い手帖「フランス」

 九月二十九日夜 三人 モンマルトルの赤馬で食事してかえったら下に速達

     板倉鼎 朝六時死

  板倉さんに泊る

   三十日 夜ペルールにかえり入浴 泊る

 十月一日  葬式 雨

 十月二日  ひどい風 十二時まで眠る

夜八時すぎ板倉見まい

 モンパルナスの角でコーヒーをのみマデレーヌからタクシー

 十月三日雨 Mと衝突した

   四日雨 金 フランス語

Madam H Ragondely 18 Rue Auguste-chabrūres 15e

H来クラマールへ

 引こす相談

   五日 モスクヷへ手紙 No. 30 土

ジェネヷへ二人で、十一時の汽車で立つというのに中途でm気分わるくして、中止、

口先の同情

実に低級な同情を欲する

わめく。そこへ他人が来ると、うってかわって口をきき、ものわかりよくなる。

ものをさせるのが下手

親が病気をしてもちっとも心配しない

私が目がわるくなってから何度ものをよんでくれた

○おかあさま、それぞれの立場でしなくてはならないことをわからせておさせなさいよ」

寿江子の靴下プランタンへ買いにゆく

やぶれたのをはいて

   伸子 マッフラー止め二ケ

      手帖(青)

      スエ子靴下

 マデレーヌのうしろの店でトーモロコシを買う8F 四本で

電車でかえる。日没美しい(六時半)café を一つのみ

マカロニーつくる。父も工合わるい

スエ子と自分フジへ行ってすきやき

サンミッシェルの角まで歩いて車

   コンコードの美しさ

   十時ごろはもう消える

夜十一時頃 ホテルモンソーへかえる


 十月六日  カーテンから朝日この数日ない。

パン、茶をのんだらまた雨

板倉午后三時に。

きょうから一時間くり上げ(Summer time の終りか)

 十月七日  クラマールにきまる

フランス語

 去年八月から仕事をしていないことを考えておそろしくなった。

mコンコードで会い

チュレリーへ行って家のこと話していると太鼓

黄金狂時代(チャップリンの)を見るつもり、だめで Volga Volga ステンカラージンが女を海へすてるところ

すこしのブドー酒、少しの光線、多くのタンサン瓦斯で、中学生になる、

自分も大してコッケイを感じず、おかしい。

ペレールによって左右田喜一郎の話

   ペレールへ泊った。


 十月二十四日 親たち帰国、


 十月八日  おきると雨

雨ね、おとうさま

──ああ。だまっているんだ。また問題がおこるから。

十時の汽車に父母のせ(ジェネヷ)

トロカデロまでかえって Hotel へ行ったら Note がおいている スミ子プランタンへ行ってしまった。

いそいで、おっかける 子供部でカンゴ婦と一緒のを見つけ買いものすまして、カンゴ婦をかえし、車へのせてかえし、自分たち(寿)マデレーヌの角から Tax

パリからモスクヷへ打った電報が南米をまわったとは!

    九日 また雨(水)

ホテルへ行ってフランス語

一時食事ペレールで

   女中兎を出す

 このひとの生れ年だからいやなの

寿江子の兄への感情

夕飯二人

   〔欄外に〕九時前に Gold Rush を見る


    十日 降るみ降らずみ。

ペイラシェイズ。

自分と歩くのを面白がりすぎる傾向あり

これは柔かくてつまらない。

ワグラムへ出て迷う、日本クラブ鯛チリ(寿と)

底本:「宮本百合子全集 第三十巻」新日本出版社

   1986(昭和61)年320日初版発行

初出:「宮本百合子全集 第三十巻」新日本出版社

   1986(昭和61)年320日初版発行

入力:柴田卓治

校正:土屋隆

2007年1130日作成

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