寒中の木の芽
内村鑑三



一、春の枝に花あり

  夏の枝に葉あり

  秋の枝に果あり

  冬の枝になぐさめあり


二、花散りて後に

  葉落ちて後に

  果失せて後に

  芽は枝にあらはる


三、憂に沈むものよ

  嗚呼不幸をかこつものよ

  嗚呼冀望きぼうの失せしものよ

  春陽の期近し


四、春の枝に花あり

  夏の枝に葉あり

  秋の枝に果あり

  冬の枝に慰あり

底本:「内村鑑三全集3 1894-1896」岩波書店

   1982(昭和57)年1220日発行

底本の親本:「国民之友」284号、署名(内村鑑三)

   1896(明治29)年222日発行

※「顕はる」(底本p.208-9)、「冀望」(底本p.209-1)にそれぞれルビを振りました。

入力:ゆうき

校正:ちはる

2003年220日作成

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