熊 新美南吉 Guide 扉 本文 目 次 熊 熊は月夜に声きいた。 どこか遠くでよんでゐた。 熊はむくりと起きて来た。 檻の鉄棒ひえてゐた。 熊は耳をばすましてた。 アイヌのやうな声だつた。 熊は故郷を思つてた。 落葉松林を思つてた。 熊はおゝんとほえてみた。 どこか遠くで、 こだました。 底本:「日本児童文学大系 第二八巻」ほるぷ出版    1978(昭和53)年11月30日初刷発行 底本の親本:「赤い鳥」赤い鳥社    1932(昭和7)年8月 初出:「赤い鳥」赤い鳥社    1932(昭和7)年8月 入力:菅野朋子 校正:noriko saito 2010年12月9日作成 青空文庫作成ファイル: このファイルは、インターネットの図書館、青空文庫(http://www.aozora.gr.jp/)で作られました。入力、校正、制作にあたったのは、ボランティアの皆さんです。