「文壇波動調」欄記事 (その二) 岸田國士 Guide 扉 本文 目 次 「文壇波動調」欄記事 (その二)           ×  加宮貴一君、「光明の文学の序曲」を拝見しました。君が中村武羅夫氏に対して云つてをられることは、当然、僕としても何とか云はなければならないことらしいが、君と僕とは、所謂「明るい文学」を提唱する動機も違ふやうだから、当分口は出さないことにします。  中村氏にも、そこを混同されないやうにお願ひして置く。(岸田)           ×  ただ、僕は僕として、中村氏にこれだけのことは云つて置きたい。僕が求めてゐるのは「明るい人生」ではない。「明るい文学」なのだ。その「明るさ」は、あなたがたの云ふ「人生」の何処にもある筈はない。それはただ、「あるがままの人生」を盲信しない人間の、少しばかり光つた眼の裡にあるのだ。(岸田) 底本:「岸田國士全集20」岩波書店    1990(平成2)年3月8日発行 初出:「文芸時代 第二巻第七号」    1925(大正14)年7月1日発行 入力:tatsuki 校正:門田裕志、小林繁雄 2005年9月10日作成 青空文庫作成ファイル: このファイルは、インターネットの図書館、青空文庫(http://www.aozora.gr.jp/)で作られました。入力、校正、制作にあたったのは、ボランティアの皆さんです。