倦怠に握られた男
中原中也



俺は、俺の脚だけはなして

脚だけ歩くのをみてゐよう──

灰色の、セメント菓子を噛みながら

風呂屋の多いみちをさまよへ──

流しの上で、茶碗と皿は喜ぶに

俺はかうまで三和土タタキの土だ──

底本:「新編中原中也全集 第二巻 詩」角川書店

   2001(平成13)年430日初版発行

※底本のテキストは、著者自筆稿によります。

入力:村松洋一

校正:きゅうり

2019年730日作成

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