北原白秋



夏の昼間ひるま

ひきがへる、

そなたは、なんで

さびしいぞ。


白い女の

指さきで、

刺され、突かれて

うれしいか。


夏の昼間の

ひきがへる、

海鼠色なまこいろした

ひきがへる。


金の指輪に、

が切れて、

血でも出したら

何とする。


夏の昼間ひるま

ひきがへる、

海鼠色した

ひきがへる。

底本:「白秋全集 3」岩波書店

   1985(昭和60)年57日発行

底本の親本:「白秋全集 第二巻 詩集第二」アルス

   1929(昭和4)年1210

※本作品は底本の親本の「雪と花火」の「槍持」に収められています。

入力:岡村和彦

校正:フクポー

2016年99日作成

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