正岡子規



○先日徹夜をして翌晩は近頃にない安眠をした。その夜の夢にある岡の上に枝垂桜しだれざくらが一面に咲いていてその枝が動くと赤い花びらが粉雪のように細かくなって降って来る。その下で美人と袖ふれ合うた夢を見た。病人の柄にもない艶な夢を見たものだ。

〔『ホトトギス』第二巻第四号 明治32・1・10

底本:「飯待つ間」岩波文庫、岩波書店

   1985(昭和60)年318日第1刷発行

   2001(平成13)年117日第10刷発行

底本の親本:「子規全集 第十二巻」講談社

   1975(昭和50)年10月刊

初出:「ホトトギス 第二巻第四号」

   1899(明治32)年110

※底本では、表題の下に「子規」と記載されています。

入力:ゆうき

校正:noriko saito

2010年422日作成

2011年511日修正

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