『それから』予告
夏目漱石



 色々な意味に於てそれからである。「三四郎」には大学生の事をかいたが、この小説にはそれから先の事を書いたからそれからである。「三四郎」の主人公はあの通り単純であるが、此主人公はそれからあとの男であるから此点に於ても、それからである。此主人公は最後に、妙な運命におちいる。それからさきうなるかは書いてない。此意味に於てもまたそれからである。

底本:「漱石全集 第十六巻」岩波書店

   1995(平成7)年419日発行

初出:「大阪朝日新聞」

   1909(明治42)年620

   「東京朝日新聞」

   1909(明治42)年621

※初出時、「大阪朝日新聞」には「小説それから」として、「東京朝日新聞」には「新小説予告」「それから」として発表された。

※底本のテキストは、初出(「東京朝日新聞」)による。

※作品の表題「『それから』予告」は、底本編集部による。

※底本には、初出のルビを「適宜削除した。」旨の記述がある。

入力:砂場清隆

校正:小林繁雄

2003年331日作成

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