沼の家
新美南吉



母さんお窓をしめましよう、

もう郭公くわくこう鳥は鳴きませぬ。


林の虹も消えました、

沼には靄がおりました。


母さんお窓をしめましよう、

風がひえひえいたします。


もうすぐ夜が来るのです。

もう郭公鳥も鳴きませぬ。


病気がおもるといけませぬ。

母さんお窓をしめましよう、

ランプにあかりもいれましよう。

底本:「日本児童文学大系 第二八巻」ほるぷ出版

   1978(昭和53)年1130日初刷発行

底本の親本:「チチノキ」

   1935(昭和10)年3

初出:「チチノキ」

   1935(昭和10)年3

入力:菅野朋子

校正:noriko saito

2011年14日作成

青空文庫作成ファイル:

このファイルは、インターネットの図書館、青空文庫(http://www.aozora.gr.jp/)で作られました。入力、校正、制作にあたったのは、ボランティアの皆さんです。