輪まはし
新美南吉



ついぢの

椿の花のした、

ここから

輪まはし

  かけてつた。


木ぎれで

ひいた横の線、

ここから

からから

  かけてつた。


帽子に

椿の花插して、

ぬくとい

垣根に

  そつてつた。


ついぢに

もたれてあつち見て、

あの子が

ひとり

  まつてゐる。

底本:「日本児童文学大系 第二八巻」ほるぷ出版

   1978(昭和53)年1130日初刷発行

底本の親本:「チチノキ」

   1933(昭和8)年8

初出:「チチノキ」

   1933(昭和8)年8

入力:菅野朋子

校正:noriko saito

2011年14日作成

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