新美南吉



島で、あるあさ、

鯨がとれた。


どこのうちでも、

鯨を食べた。


ひげは、うなりに、

売られていつた。


りらら、鯨油あぶらは、

ランプで燃えた。


鯨の話が、

どこでもされた。


島は、小さな、

まづしい村だ。

ちゅう。鯨の鬚は、たこの呻りに用ゐられます。)

底本:「日本児童文学大系 第二八巻」ほるぷ出版

   1978(昭和53)年1130日初刷発行

底本の親本:「赤い鳥」赤い鳥社

   1932(昭和7)年12

初出:「赤い鳥」赤い鳥社

   1932(昭和7)年12

入力:菅野朋子

校正:noriko saito

2010年129日作成

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