乳母車
新美南吉



坊やがせがむと

乳母車、

つばきの花をつけられる。


そしてくる〳〵

くる〳〵と、

ご門のとこまでひかれてく。


坊やがねないと

乳母車、

ねんねこようをきかされる。


そしてゆら〳〵

ゆら〳〵と、

ぶらんこみたいにゆすられる。


坊やがねちやうと

乳母車、

日かげにそつといれられる。


そしてふんはり

ふんはりと、

もひとつ毛布をのせられる。

底本:「日本児童文学大系 第二八巻」ほるぷ出版

   1978(昭和53)年1130日初刷発行

底本の親本:「赤い鳥」赤い鳥社

   1932(昭和7)年7

初出:「赤い鳥」赤い鳥社

   1932(昭和7)年7

入力:菅野朋子

校正:noriko saito

2010年129日作成

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