「グッド・バイ」作者の言葉
太宰治



 唐詩選の五言絶句の中に、人生足別離の一句があり、私の或る先輩はこれを「サヨナラ」ダケガ人生ダ、と訳した。まことに、相逢った時のよろこびは、つかのまに消えるものだけれども、別離の傷心は深く、私たちは常に惜別の情の中に生きているといっても過言ではあるまい。

 題して「グッド・バイ」現代の紳士淑女の、別離百態と言っては大袈裟おおげさだけれども、さまざまの別離の様相を写し得たら、さいわい。

底本:「もの思う葦」新潮文庫、新潮社

   1980(昭和55)年925日発行

   1998(平成10)年101539

入力:蒋龍

校正:土屋隆

2009年47日作成

青空文庫作成ファイル:

このファイルは、インターネットの図書館、青空文庫(http://www.aozora.gr.jp/)で作られました。入力、校正、制作にあたったのは、ボランティアの皆さんです。